VV5th

座談会「Vのキセキ【第3回演奏会篇】」その1

団員

これまでの「Vのキセキ」

座談会の前に…

(10月某日、都内某所にて)

座談会企画「Vのキセキ」は、VV(ぼーべー)のあんなことやこんなことを団員にアツく語ってもらう企画です。今回は第3回演奏会のDVDを見ながら、当時のエピソードやVVと常任指揮者との関係といった話題をお届けします。
座談会に入る前に、例によって第3回演奏会の紹介と自己紹介をお願いします。
第3回演奏会は2013年の2月25日に、川口総合文化センターリリアの音楽ホールで開催されました。
指揮は音楽監督、常任指揮者である松下耕先生と、当時の常任指揮者であった三好草平先生です。
当時は代表やってました!
第1ステージは、ラインベルガーの男声合唱とオルガンのためのミサ曲、"Messe in B op.172"だったかな?を演奏しました。オルガンをオルガニストの能登伊津子先生にお願いしての共演でした。
おれは演奏会のチケット担当でしたね。
第2、第3ステージはどちらもアカペラ作品でした。第2ステージがプーランクの「アッシジの聖フランチェスコの4つの小さな祈り」、第3ステージが、日本の民謡を集めたステージでしたね。第3ステージのみ、この演奏会では三好先生が指揮を振ってくださいました。
当時自分は副代表です。
最終ステージは松本望先生作曲の「天使のいる構図」です。ピアノに作曲者本人である松本望先生をお迎えし、松下先生との初共演が実現しました。また、アンコールは松下先生の「今年」でした。
ぼくは当時1年生でしたね。若かった。
早速ですが、第2ステージで演奏したプーランクの演奏はすでに「Vのススメ」に掲載されています!
voces-veritas.com/v/article/032f…
動画「プーランク」
そして、アンコールで演奏した「今年」は、この年度に合唱祭に出演した際の演奏をアップしております!
voces-veritas.com/v/article/111t…
動画「今年」
どちらも座談会記事のお供に是非ご視聴ください!
大プッシュだな(笑)。

「松下耕×松本望」2人の作曲家

第3回演奏会のメインステージは松本望先生作曲の「天使のいる構図」を指揮松下耕先生、ピアノ松本望先生で演奏しました。
まず曲の決まった経緯を教えて下さい。
一番の理由は、元々団員がやりたいって言ってたからだよ。それに先生自身も興味を持ってる曲だっていうのも知っていたんだよ。
前にプレイアード1が演奏する曲の話をしているところにたまたま居合わせたことがあって。プレイアード指揮者の松下先生、斉藤先生が相談している隣でたまたま座ってる俺っていう状況だったんだけど。
すごい面子(笑)。
その時の選曲案の1つが「天使のいる構図」で、松下先生も乗り気だった。けど、プレイアードよりも大人数向けの作品だし、「天使のいる構図」はちょっと合わないかな、って仰ってて。
「じゃあVVでならいけるのでは」と思いVVの選曲会議で「天使のいる構図」を提案したら、すんなり通ったというわけ。
今回は「天使のいる構図」を作曲した松本先生自身との共演となりましたが、ピアニストが決まった経緯についてはどのようなものでしたか?
VV2nd
そもそも、合唱やってると「ピアニストとしての松本望」っていう認識があんまりないよね。
この選曲会議の時も最初はそういう認識だったよね。ピアニストとしてお呼びするのも、当時代表だった柳澤との繋がりがきっかけである感じではあった。
柳澤の高校の先輩が松本先生だったんだよね。
うん。母校が俺と同じ札幌北高校2なんだよ。おれも生で松本先生のピアノ聴いたことあるわけではなかったけど、高校の部室に過去の演奏会で松本先生がピアノを弾いた演奏とかも残ってたし。
当時から難しい曲も凄く上手に弾いてたみたい。
その音源って結構貴重だよね(笑)。
先生と柳澤は面識あったの?
当時は所属していた他の団の関係で松本先生と連絡は取ってたけど、顔見知り程度かな。
その繋がりがきっかけではあったわけだね。
そう、そんな感じで「天使のいる構図」から松本先生本人の話題となって、松下先生も「ピアノお願いするのも面白そうじゃないか」と仰ってくださったのね。
で、俺から直接連絡を取ったら、松本先生自身も「面白そうな企画ですので是非」とご快諾くださったと。
それで契約成立ってワケか。
実際に松下先生、松本先生とVoces Veritasとが共演してみての感想を教えて下さい。
VV2nd
やっぱり、松本先生のピアノが凄く良いなあ。 #nowplaying II. Capriccio
アンサンブルのピアノを専門に勉強してるもんね。これが本職。
コンセルヴァトワール3に留学されてたんだよね?
あ、のだめ4にも出てきたやつだ。
そこのピアノ伴奏科を卒業したってプロフィールにも載ってる。
松本望先生のピアノって凄く激しいからさ、普通に聞いてると耳が合唱よりもピアノに行っちゃいそうなのね。
そうそう、かなりリズムが立って聞こえてくる。
でもVVの演奏はとりあえず勢いがあったからイーブンに聞こえたかな、って感じ。上手い合唱だったかは別として。
松下先生が、そういったところをちゃんとバランスとった上で指揮振ってくれているよね。
合唱団とピアニストと指揮者の3つの要素が、ちゃんと噛み合ってるよね。
普通にやったら、やっぱり男子大学生の合唱がアンサンブル本職のピアニストには勝てないだろうから。松下先生のおかげで、ずば抜けて上手いピアノが目立つ事無くアンサンブル出来たんだなあ。
指揮もこうやって見返すと良いよなあ。なんか先生自身もノリノリで振っている感じで、歌い手としてもとても嬉しい(笑)。
やっぱ2人とも凄い人なんだよ!
VV2nd
松本先生はピアニスト、松下先生は指揮者としての演奏でしたが、お2人とも作曲家としての面もお持ちです。そう言った点で、お互いの音楽家としてのぶつかり合いはあったんでしょうか?
ピアノ合わせの時にはやっぱり色々あったね。「ここはこうしたい」「いやいやこうじゃなくて」みたいな話があった。
あれは面白かったよね。凄くクリエイティブな時間だった。
でも2人の音楽ってなんとなく似てるからさ。
若々しいというか、音楽に攻めの姿勢が感じられる。
基本的には2人で意見が真っ向から食い違う事はほぼ無くて、確認する時に「ここはこういう書法使っているけどこういう意図で良いんだよね?」「そうですそうです」みたいな話し合いとかの方がが多かったかな。
終曲の最後で全声部で”Ah-“って歌う所って、結構溜める演奏が多いんだけど。松下先生は溜めないでやりたいっていう意見で、松本先生も「私もそのつもりで書いたんですけど…」って仰っていた(笑)。なんか溜められる演奏が多いよね、あれ。#nowplaying V. Finale
初演かな。
なにコラ5の初演が上手かったからな。あれ初演の割には完成度高いもん。でも、初演の後に楽譜が直された箇所も実際あったらしい。
やっぱ初演が音源化されると影響力でかいのかもね。
音源が上がっているので、是非VVの演奏も聴いてみてほしいです!
voces-veritas.com/v/article/122f…
動画「フィナーレ」
その他練習でのエピソードなどありましたら教えてください。
最初のピアノ合わせで一通り弾き終わった後に松本先生が「この曲意外と難しいですね」って仰ってた。
団員もびっくりした(笑)。
「わたしピアノ弾きながら作曲するんで、このピアノ弾くのかなり久しぶりですね」って言ってたの覚えてる。
これ松本先生がフランスに留学中に書いたんだよね。バリバリ弾いてた時に書いた曲なんだな。
というか、松本先生が「天使のいる構図」をピアニストとして演奏したのはこの時が初めてらしかったね。
うん、もしかしたらそうじゃないかなーって思ってたけど、演奏会のレセプションでお話ししてやっぱりそうだったってなった。
あと、これは松本先生との初合わせの時のエピソードだけど、「ピアノ合わせやるから」って言って団員を結構頑張って集めたんだよ。当時は今ほど出席率良くなかったから。
で、ほぼ全員集まったんだよね。
松下先生がいらっしゃった時に「なんだお前ら、ピアニストが女性だと出席率良いな」って冗談で言ってて(笑)。
みんな頑張って集まったのに(笑)。
座談会
  1. ^ 松下耕が音楽監督を務めるプレイアード・アンサンブル東京のこと。副指揮者として斉藤暢子氏を迎えている。@EnsemblePleiade
  2. ^ 北海道札幌北高等学校のこと。
  3. ^ ここでは、パリ国立高等音楽院のことを指す。
  4. ^ 二ノ宮知子による、クラシック音楽を題材とした漫画「のだめカンタービレ」のこと。物語の後半、主人公が前述のコンセルヴァトワールに留学する。
  5. ^ 大阪の男声合唱団「なにわコラリアーズ」のこと。@nanikora_20th