VV5th

座談会「Vのキセキ【第2回演奏会篇】」その2

座談会

世界のうた、日本のおと

第1ステージは世界の男声合唱曲をアラカルトで演奏したステージ、第2ステージは対照的に、日本の音を題材とする邦人作品を集めたステージでした。
まずは第1ステージのお話から。曲目の選曲、コンセプトなどを教えて下さい。
第1ステージの選曲も一応団員に募集かけて、そのリストをコンマスと代表が松下先生のところに持っていって選曲会議してたね。
あ、やっぱそうだったのね。
知らなかったのかよ(笑)。
だって当時VVの1年目だもん。
でもこの頃は団員がやりたい曲から選曲するというよりは、先生に提案してもらった曲を演奏する傾向が強かったね。
松下先生への依存度が高かったってことですかね。
「水のいのち」も先生の選曲だったし。
当時自分達が知っているレパートリーが少なかったってのもあるだろうけど。
第1ステージの選曲はどちらかというとアンサンブル系の曲が多くて、最近のVVがあまり扱わない曲が多めだったかな。
もっと人数が少ない男声合唱団が演奏しそうな曲目でしたよね。
VVをどういう合唱団にするかまだ方針が定まってなかったから、色々と模索していたことが顕れた曲目だったのかもね。
座談会
先生レッスンはどのような雰囲気でしたか?
一般の団員としては、正直「松下耕に知らない外国語の曲を教えてもらうワークショップ」的な感じでした。
確かにそうですね。なかなか触れる機会が無いですし。男声合唱の外国語作品だったら尚更。
例えばハンガリーの”Fölszállott a páva“4は松下先生の思い入れが強い曲だったから印象に残ってる。発音の段階から熱心に指導してくださったし。 #nowplaying Fölszállott a páva
ハンガリー語はただでさえ発音が複雑だから、自分達だけじゃ完璧な発音発語は無理だったよなあ。
先生は実際にハンガリーで音楽の勉強をしてきたから、現地の生の言葉を自分達に伝えてくれてとても勉強になった。
講習的側面が強かった分、帰属意識はこのころはぶっちゃけ薄かったけどね。
兼団先に持ち帰るための勉強をしに来ている感じでしたね。
他の団で技系をしているような団員も多かったからね。
続きまして、日本の音を題材とした第2ステージ。まずは選曲の経緯を教えて下さい。
1曲目、間宮芳生先生の「羯鼓」は当時のコンサートマスターだった三代川さんの希望で決まったんだっけ。
3曲目に演奏した松下先生の「津軽じょんがら節」は、その年の教会コンサート5で演奏していたから、そのまま採用になったみたいですね。
なんといっても2曲目、藤原義久先生の「敬礼段」が一番特徴的。当時既にコルアカ6のOBだった代表の鎌田さんの「絶版になってしまった秘蔵の名曲がある!」という強い推薦により採用になったんだよな。
やめて(笑)。コスパ悪い曲でしたごめんなさい。
仏教で唱えられる声明をそのまま男声合唱の楽曲にしたような作品で、念仏を唱えるような演出も取り入れたから団員が暗譜にめちゃくちゃ苦労した記憶が。
実際に取り組んでみていかがでしたか?本番の評判なども合わせてお聞かせください。
「敬礼段」なんかは実際の演奏も結構評判良かったけどね。面白いって言ってもらえたし。 #nowplaying 敬礼段
倍音バリバリ鳴ってて、雰囲気も出てたってアンケートも頂いたよ。
暗譜での演奏はもう勘弁ですけどね。
「敬礼段」に関しては「なんか面白そうな曲があるらしい」程度の情報を把握していただけで、具体的な曲の情報は全然知らなかったから楽譜を見て唖然としたのを良く覚えてる(笑)。
歌詞は全部漢字だけど全然読めなかったね。意味不明。
VV2nd
音は簡単だったので、歌詞を叩き込む練習が大部分を占めてましたね。
「羯鼓」も間宮作品の中ではマイナーな作品だったけど、変わった曲を演奏するってことも重要だと思う。
VVじゃないとこういうマニアックな曲を演奏会で演奏させてもらえない気がする。
森田先生のステージだったから、他のステージより演出とかも自由にやれましたしね。
「敬礼段」とか演出もそれなりに好評だったし、音源としても貴重だから動画公開したら面白いんじゃないですかね?(笑)
VV2nd
いいんじゃないですかね(笑)。前衛芸術的な感じで。
民謡とは違った、日本の伝統的な音素材を男声合唱に起こしたという意味では「王孫不帰」と関連があるとは言えなくもないですし。「Vのススメ」の一環として更新して欲しい。
余裕があったら公開してもらいましょう(笑)。
そういえば「津軽じょんがら節」は、アンコールを除くとこの演奏会で唯一松下先生の曲ですね。
VVって松下先生の曲あまり演奏しないからね。そもそも先生が書いている男声合唱の曲が、他の編成の合唱曲と比べると意外と少ない。
「邦人の男声合唱曲は特に傑作が多いから、自分の曲やるより他の人の曲採りあげる方が楽しい」って先生もおっしゃっていた。
でもそれは面白い一面もあるよね。松下先生の作品を先生自身の指揮で演奏する時は「音楽を教わる」感が強いけど、他の作曲家の作品を演奏する場合は「一緒に音楽を創っていく」感が出る。
  1. ^ Z. コダーイ作曲” Fölszállott a páva”「孔雀が飛んだ」。ハンガリーの民謡が元になっている。
  2. ^ ここ数年、11月にカトリック八王子教会で開催されているコンサートのこと。今年度の活動レポートはこちら
  3. ^ 東京大学音楽部合唱団コールアカデミーのこと。座談会参加者である藤間もこの団のOBである。