VV5th

座談会「Vのキセキ【第4回演奏会篇】」その1

団員

座談会の前に…

(10月某日、都内某所にて)

座談会企画「Vのキセキ」は、VV(ぼーべー)のあんなことやこんなことを団員にアツく語ってもらう企画です。今回は第4回演奏会のDVDを見ながら、当時のエピソードやインカレであるVVの姿などを中心とした話題をお届けします。
座談会に入る前に、まずは第4回演奏会の紹介と当時の簡単なプロフィールなどをお願いします。
第4回演奏会は今年の3月28日(金)に、渋谷のさくらホールで開催されました。
指揮は勿論、音楽監督である松下耕先生、そして学生指揮者が3名。共演はピアニストの渚智佳先生と前田勝則先生ですね。
昨年度の最後の活動ですね。僕はこの時に合唱団の代表を努めていました。
第1ステージは千原先生作曲の「マリア、アレルヤ!(カンティクム・サクルム第2集)」で、第2ステージは松下先生の宗教曲ステージでした。
第3ステージは、「四つの音聲(おんじょう)」という題名のアンソロジイステージです。
このステージが学生指揮者による演奏で、おれも2曲振ってます。
第4ステージは三善先生作曲の「遊星ひとつ」ですね。アンコールも、三善先生が編曲した「唱歌の四季」から「夕焼小焼」を演奏しました。
当時自分がコンマス(コンサートマスター)をやらせてもらってました。
@無職
おれ、このとき何の役職にも就いてなかったんですけどここにいていいんすかね笑
@学指揮
面白い話してくれれば何でもいいよ
@無職
ハードル上がっちゃう奴じゃないですか
コンマスと学指揮(学生指揮者)の違いってなんですか?
@学指揮
学指揮ステージをやるにあたって、指揮を担当することになった団員を単に学指揮と呼んでただけですかね。
@コンマス
基本技系の責任者はコンマスなので、練習計画立てたりとかは全部自分が責任もってやってましたね。
でも指揮を振った経験があまりなかったので、遊星の下振りなんかも学指揮の方々にお願いしてました。
@代表
まあ詳しい話はどうせ後でするでしょ。

「松下耕×遊星ひとつ」の魅力

第4ステージは、言わずと知れた三善先生の傑作「遊星ひとつ」を歌いました。まずはそちらに関して、詳しくお話ししていただこうと思います。
まずは、なぜ第4回演奏会の最終ステージがこの組曲に決まったのか教えて下さい。
最終ステージの候補としては他にも「祈りの虹」「枯木と太陽の歌」「季節へのまなざし」があったんですよね。
VVの夏合宿で候補を挙げたけれど決まらず、三善先生が亡くなった一週間後ぐらいの先生レッスンで先生が「この曲をやるしかない!」っておっしゃって。
思い出した。新宿文化センターの展示室だったよね。
三善先生が亡くなられたことが大きなきっかけではあるよね。
決定以前に松下先生とお話しした時も、「「遊星ひとつ」はハードな組曲だから難しいかもね」となって決まらなかったんだよね。
実際に「遊星ひとつ」に取り組んでみて、難易度はどうでしたか?
2曲目の「だれの?」がやばかったなあ。最初に1曲目のINITIAL CALLやって「なんだ、案外いけんじゃん」って調子乗ってページめくったら拍も音も取れないって(笑)。
最初の先生レッスンの時にはINITIAL CALLだけで、大丈夫じゃんってなったんですけどね。
年内に3曲目の「見えない縁のうた」をやってから年明けに「だれの?」やったんだっけ 。いくらやっても全然音とかリズムとか取れなくて……。
ページをめくるたびに難しくなっていくのが辛かった(笑)。次のページこそはって思うんだけどさ。
「だれの?」の後に4曲目の「バトンタッチのうた」を練習した時は凄く簡単に思えたな。すぐに気のせいだって気づいたんだけど(笑)。
そうそう。「だれの?」難しすぎ。
演奏会直前の冬合宿とかでも一番練習したよね。和音の詰めとか。
「遊星ひとつ」難しかったなあ。
でも、みんな好きでしたよね。
それが大きいよね。みんなが好きだったからやれた。
それを共有出来る場だったから出来たんだと思う。「こんなやたら難しいのよりもっとハモる曲やろうよ〜」とか言われたら萎えるじゃん。
男声合唱をやってたらいつかはやってみたい作品だよね。
そうそう。
もう一回歌いたいですね。
三善作品は同じ作品でも何度か歌いたい。
でも僕は今はそうは思わないかな。就活が上手く行かなかったり、進級出来なかったりする団員もいるなかで「先頭かビリか」とか「見透しあるかい」とか歌ってたいたから傷ついた思い出が残ってる。
座談会
指揮、指導は勿論音楽監督の松下先生だったわけですが、松下先生の指導する「遊星ひとつ」にはどんな魅力があったのでしょうか。
今までは栗友会(栗山文昭)とか晋友会(清水敬一)のイメージが強かったんじゃないかと思うから、まずはそういったイメージとは違うアプローチだったのが面白かったよね。
作曲家でもあるから和声の分析とか凄い細かく教えてくれるし、振るときも繊細にアーティキュレーションをつけてくれるじゃない。
凄く端正な曲作りをする。
そういう曲作りってやっぱり作曲家と指揮者の二つの面を持った松下先生ならではだと思う。
松下先生は時々「作曲家が指揮を振ってはいけない」とおっしゃるけど、作曲家が振らないと見えてこない曲の一面とかもあるよね。
自分たちだけでは勉強しきれないというか、カバー出来ない部分を補填してくれるのもとても良い機会だし、それに惹かれるのもあった。
「見えない縁のうた」の中のブルースの要素とか、学生だけでは理解しきれなかったと思うしさ。
スコアを読む力がやっぱり凄いと思う。
割と指揮者や歌い手の都合に合わせたねじ曲がった演奏が多い中で、少なくとも先生の話は曲に対して整合性のある、みんな納得できるアプローチをしてくれる。楽譜に忠実なんだけど曲の面白みを引き出してくれる指揮は松下先生ならでは。
特に三善作品のように書法のレベルが上がると尚更そう思う。
松下先生によるレッスンが始まるまでは、楽譜に書いてある通りにうたってもしっくりこない部分があったのだけど、レッスンを受けてから要は自分たちが楽譜を読み取れてなかったんだってことを痛感した。
楽譜の情報をちゃんと抽出するだけでこんなに曲が生きるようになるのかって。楽譜に書いてある事をちゃんと読み取って組み立てて音楽を作るところが本当に凄いと思う。
印象的なのはINITIAL CALLの3.5/4拍子のところ。僕たちが歌いすぎて4/4拍子に近くなった時に、先生が言った「三善晃は冗長さを無くしたいから3.5/4拍子にしたんだよ。だから絶対に歌いすぎてはいけないんだ」っていうのが凄い印象に残っている。当たり前だけど楽譜に忠実じゃなきゃ歌えないんだなって再認識した。
曲がどうしてそうなったのかっていう理由をちゃんと教えてくれる。
「(3+0.5)/4拍子なんじゃなくて、(4-0.5)/4拍子なんだよ」っていう言い方を先生はしていて、凄く納得したのを覚えている。
やっぱりレッスン自体が面白い、貴重な経験でしたね。他の指揮者の指導だとまた違った面白みがあるのでしょうけど。
では、本番の演奏はどうでしたか?
暴れちゃった所もあるけど、やっぱりそういった指導を受けての本番だったから、楽譜に忠実な演奏にはなったと思う。 #nowplayng だれの?
その上で、先生が結構激しいというか若々しく振ってくれたんだよね。爽快なテンポっていうか。今まで三善先生の作品っていうと、昭和臭いというか……。
年季が入った感じ?
そうそう、そんな感じ。だから先生の振る三善作品って「こんなの三善じゃない」とか批判されてる部分もあるかもしれないけど、若い歌い手と若いピアニストと作り上げた三善作品の今までとは違った良さ、例えば疾走感や爽快感、若々しさが出た演奏になったのはとても良かった。
やっぱり松下先生の指揮と前田先生のピアノのコンビって凄い疾走感があると思う。
終曲の「バトンタッチのうた」の音源をVのススメの公開と同時にYouTubeに上げたけど、再生数がどんどん伸びていったのも嬉しかったよね。
そもそもYouTubeにバトンタッチの音源が上がってないって言うのもあると思うけど、やっぱり今までのイメージとは違ったものを提供することはできたんじゃないかなあ。
もちろん褒めてもらう意見だけではないけどね(笑)。
話題にしてもらうだけでもありがたい。
まだの方は是非お聴きください! #音源
voces-veritas.com/v/article/012b…
VV4th
先程ピアニストの話題が出ましたが、前田先生と渚先生のピアノ連弾はいかがでしたか?
VVはいつも前田先生にピアノを弾いていただいてるけど、やっぱり松下先生との息の合い方が本当にぴったりだよね。 #nowplaying バトンタッチのうた
そして今回は前田先生が渚先生を連れてきてくれて。前田先生様々だよね。
みんなのモチベーションも上がったよね。
美人だしね。
連弾を初めて聞いた時「なんか凄いのきた!」ってなった(笑)。
レッスン前にお二人で練習してるの見て、みんなざわざわしてましたね(笑)。
前田先生はどっちかっていうと女性的なピアノだけど、渚先生は男性的なピアノ。
VV4th
初回合わせですぐに惹き込まれた。
ピアノの連弾ってなんとなくぎこちない感じになる印象なんだけど、そういうぎこちなさが全く無いのが凄かった。弾けていることは勿論だけど。ちゃんとした連弾ピアノがどういうものかというのを改めて聞かされたように思う。
ピアニストにも本当に恵まれましたよね。素敵な出会いでした。
あと何が嬉しいって、渚先生が「合唱のピアニストって面白いっていう事を知りました。」って言って下さって。
それは嬉しい。
「最初の演奏がVVで良かったです。」とも。
それ僕らとしても本当にありがたい言葉だよね。
「遊星ひとつ」を松下先生が振る、ということには色々な面で大きな魅力があったようですね。
先生の音楽の話の面白さに団員が気づかされるっていう場面が多かったですね。でもそのためには、まず団員が一番曲にのめり込むだとか、好きにならないことには始まらないことだと思うんですよ。
第4回演奏会は曲に救われた部分が大きいよね。
選曲が良かった。
曲が合唱団に合ってたね。
コンマスありがとう。
そこは松下先生では(笑)。
座談会